
司法試験・予備試験の基本書を15科目で厳選。基礎固め/論点整理/辞書の目的別に、初学者〜中級者が迷わない選び方とおすすめをまとめました。
司法試験・予備試験の対策において、書店に並ぶ膨大な「基本書」の中から自分に合った一冊を選ぶことは、合否を分ける重要な戦略の一つです。 「基本」書とはいえ、その内容は高度で専門的。自分の学習段階や目的に合わないものを選んでしまうと、消化不良を起こし、最悪の場合は挫折の原因にもなりかねません。
そこで本記事では、2025年の試験対策を見据え、おすすめの基本書を 「基礎固め」「論点整理・理解深化」「辞書・詳細参照」 といった具体的な利用シーン別に分類して紹介します。
なぜ今、「基本書」なのか?
基本書とは、法学者が執筆した法律の体系書のことです。 多くの大学講義で教科書として指定されていますが、本来は試験対策本ではなく、学者の研究成果の結晶です。
予備校テキストと比較して難解な部分もありますが、「法律の正確な理解」 と 「法的思考力の養成」 においては、これに勝るものはありません。合格レベルの実力をつけるには、基本書を以下の視点で使い分けるのが効果的です。
- 【基礎固め】: 細かい議論は抜きにして、科目の全体像と「心」を掴む(通読用)
- 【論点整理】: 判例・通説を軸に、試験で問われる論点の理解を深める(メインテキスト)
- 【辞書・詳細参照】: 疑問点を解消し、知識の穴を埋めるためのリファレンス(辞書用)
それでは、科目ごとに最適な一冊を見つけていきましょう。
【民法】膨大な条文と理論を攻略する
民法は量が膨大です。最初から分厚い本に挑むと迷子になります。まずは薄い本で全体像を掴み、徐々に解像度を上げていくのが定石です。
【基礎固め】全体像を短期間で把握する
- 民法(全)

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潮見佳男先生の『民法(全)』(有斐閣)は、民法1000条余りの世界を驚くほどコンパクトに凝縮した一冊です。 詳細な論証には立ち入らず、制度の骨格を掴むことに特化しています。「民法とはどういうシステムか」を短時間で一周して理解したい初学者や、知識の総復習をしたい直前期の方に最適です。
【辞書・詳細参照】深い理解と網羅性を求めて
- 民法の基礎1 総則 & 民法の基礎2物権
佐久間毅先生の『民法の基礎』(有斐閣)は、ロースクール生の間で絶大な信頼を得ているシリーズです。 条文・判例・通説という「スタンダード」を盤石にしつつ、有力説との対立点も明快に整理されています。ケースを用いた解説も豊富で、論点理解の解像度を一気に高めてくれるでしょう。
- 担保物権法

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平野裕之先生の『担保物権法』(日本評論社)。黄色い表紙が目印です。 苦手とする受験生が多い担保物権について、学説・判例を極めて詳細に分析しています。わからないことがあればこれを開けば解決する、頼れる辞書です。
- プラクティス民法債権総論
- 基本講義 債権各論Ⅰ & 基本講義 債権各論Ⅱ
潮見佳男先生の各シリーズ(信山社)。『プラクティス』は図表や要件事実を駆使した実践的な整理が、『基本講義』は「なぜそうなるのか」という理由付けの詳しさが特徴です。 論証の理由付けに困ったとき、これらの本が強力な助け舟となります。
- 家族法-民法を学ぶ

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窪田充見先生の『家族法』(有斐閣)。独特のユーモアと軽快な語り口で、無味乾燥になりがちな家族法の学習を楽しいものに変えてくれます。 もちろん内容は本格的で、条文・判例の丁寧な解説は辞書としても一級品です。
【憲法】判例の射程と論証の型を学ぶ
近年の憲法は、判例の深い理解と、それを事案にどう適用するかが問われます。
【論点整理・実践対策】試験傾向にベストマッチ
- 基本憲法Ⅰ 基本的人権 & 基本憲法Ⅱ 総論・統治]
木下智史・伊藤建先生の『基本憲法』(日本評論社)。現在の司法試験対策における「新・定番」と言える一冊です。 学術的な深さと試験対策の実用性が絶妙なバランスで融合しています。ケースメソッド形式で具体的な事案処理を学べるほか、判例への批判的検討も盛り込まれており、「多角的な視点」が求められる近年の出題傾向に合致します。
【辞書・詳細参照】中立的かつ網羅的な解説
- 憲法Ⅰ & 憲法Ⅱ
野中俊彦先生らによる通称「四人本」(有斐閣)。 複数の大家による共著であるため、特定の学説に偏りすぎず、中立的かつ客観的な記述が貫かれています。網羅性が高く、わからない用語や論点が出てきた際に参照する「辞書」として、これ以上ない安心感を与えてくれます。
- 憲法

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芦部信喜先生著・高橋和之先生補訂(岩波書店)。 通称「芦部憲法」。30年以上にわたり読み継がれる、最もメジャーな基本書の一つです。 約400ページで憲法の全論点をカバーしており、初学者の通読に適しています。ただし、記載が簡潔であるため、より深い判例理解には判例百選などの併用が必須です。短答対策としての信頼性は依然として高い一冊です。
- 憲法学読本

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宍戸常寿先生ほか著(有斐閣)。 憲法学の最前線を走る学者陣による共著です。全3部構成(総論・人権・統治)で、一冊にエッセンスが凝縮されています。 特に人権分野の網羅性が高く、試験で問われる重要論点が効率よく整理されています。複数の視点から憲法を捉え直したい中級者以上のまとめ本として最適です。
【行政法】事案処理能力を磨く
【基礎固め・実践対策】事例問題へのアプローチを学ぶ
- 基本行政法

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中原茂樹先生の『基本行政法』(日本評論社)。 行政法は「理論」と「事例」の架橋が難しい科目ですが、本書はケースメソッドを通じて「この論点が実際の事件でどう現れるか」を体感できます。答案作成のプロセスも学べるため、インプットとアウトプットを同時に進めたい方に最適です。
- 行政法

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橋本博之・櫻井敬子先生の『行政法』(弘文堂)。通称「サクハシ」。 司法試験のみならず公務員試験受験生からも圧倒的な支持を得ています。定義や概念が非常にクリアに書かれており、迷いが生じやすい行政法の迷路を照らすガイドブックのような存在です。
【辞書・詳細参照】組織法までカバーする圧倒的情報量
- 行政法概説Ⅰ (Ⅱ・Ⅲと続く)
宇賀克也先生の『行政法概説』(有斐閣)。 他の基本書では割愛されがちな「行政組織法」までしっかりカバーするなど、その網羅性は他の追随を許しません。通読するには骨が折れますが、手元に置いておけばあらゆる疑問に答えてくれる、最強のデータベースです。
- 行政法Ⅰ行政法総論

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興津征雄先生著(有斐閣)。 行政法総論の抽象的な概念を、圧倒的な文章量と論理で「ひねりつぶす」ように解説してくれる一冊。 読み込むことで論理の流れが明確になり、ふわっとしていた理解がカチッとはまる感覚が得られます。行政法を得意科目にしたい方におすすめです。
【商法(会社法)】条文構造を解きほぐす
【基礎固め】複雑な条文を読み解くガイド
- 会社法

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高橋美加先生らによる通称「赤白本」(弘文堂)。 会社法の難しさは、条文の複雑な準用関係にあります。本書は「条文ガイド」という形式で、複雑な条文のつながりを丁寧に解きほぐしてくれます。条文アレルギーになりがちな初学者にとって、福音となる一冊です。
【辞書・詳細参照】条文の趣旨を深く知る
- 会社法

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田中亘先生の『会社法』(東京大学出版会)。 制度の趣旨や背景事情まで深く掘り下げた解説が特徴です。条文が「なぜそうなっているのか」を徹底的に解説しているため、辞書として活用することで、記憶の定着率が格段に上がります。
- 株式会社法

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江頭憲治郎先生著(有斐閣)。 実務家や研究者の間で最も参照されている、会社法の最高峰です。 網羅性が極めて高く、実務的な論点にも言及があります。疑問が生じたときに本書を開けば何らかの手がかりが得られますが、記述が高度で端的な部分もあるため、中級者以上の辞書としての利用が推奨されます。
【民事訴訟法】手続の流れと理論の融合
【基礎固め】予備校本に匹敵するわかりやすさ
- 基礎からわかる民事訴訟法

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和田吉弘先生の著書(商事法務)。 「学者本は堅苦しい」というイメージを覆す、軽快な語り口と豊富な図解が魅力です。予備校本のような親しみやすさを持ちながら、内容は正確無比。民訴特有の抽象的な概念をイメージとして掴むのに最適です。
【論点整理・辞書】判例・通説のスタンダード
- 民事訴訟法 LEGAL QUEST

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有斐閣のリーガルクエストシリーズ。 現在の民事訴訟法学習における「スタンダード」としての地位を確立しています。判例・通説をベースに手堅くまとめられており、試験対策として必要十分な情報が網羅されています。索引も充実しており、学習のパートナーとして長く使える一冊です。
- 民事訴訟法

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長谷部由起子先生著(岩波書店)。 非常にコンパクトながら、定義や要点がしっかりと押さえられています。判例の記述は少なめですが、その分、論点の所在や学説の整理がクリアです。 厚い基本書に疲れた時や、試験直前の総確認用に適しています。判例学習は別途判例百選などで補うと良いでしょう。
【刑法】理論体系とあてはめの技術
【論点整理・実践対策】思考のプロセスを可視化する
- 基本刑法Ⅰ 総論 & 基本刑法Ⅱ 各論
大塚裕史先生らによる『基本刑法』(日本評論社)。 現在の司法試験受験生の間でトップクラスのシェアを誇ります。判例をベースにしつつ、実務的な「あてはめ」の手法まで踏み込んで解説されています。学説の深入りを避け、合格に必要な知識を効率よく摂取できる、まさに試験対策のためのバイブルです。
- 刑法

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山口厚先生著(有斐閣)。 元最高裁判事による著書。判例を「理由付ける」ことに主眼を置き、刑法全体を客観的に概説しています。 記述は簡潔で平板ですが、その分正確性は抜群。重要論点を深く論じるというよりは、淡々と体系を確認するスタイルに適しており、既修者の知識整理や総まとめに最適です。
【刑事訴訟法】実務と理論の交錯
【基本書】捜査・公判のイメージを具体化
- 刑事訴訟法 LEGAL QUEST

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リーガルクエストシリーズ(有斐閣)。 重要判例の判旨を長めに引用しており、「生の素材」に触れながら学習できます。特に難解とされる伝聞法則の解説(堀江先生執筆部分)は秀逸で、多くの受験生を伝聞の迷宮から救い出してきました。
- 基本刑事訴訟法Ⅰ & 基本刑事訴訟法Ⅱ
吉開多一先生ほか著(日本評論社)。 「徹底的にわかりやすい」をコンセプトにした新シリーズ。 『Ⅰ』は手続の流れを淡々と、かつコラムなどで興味を惹きつけながら解説。『Ⅱ』は論文対策に特化し、答案作成に直結する論点理解を提供します。予備校本のわかりやすさと、学者本の正確さを兼ね備えた、現在最も勢いのあるテキストです。
【辞書・詳細参照】最新の学説状況をフォロー
- 刑事訴訟法

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酒巻匡先生の『刑事訴訟法』(有斐閣)。 近年の司法試験で問われるような、新しい学説対立や理論的課題について、極めて精緻な分析がなされています。上位合格を狙う層や、理論的に詰め切れない部分を残したくない学習者にとって、必携の辞書です。
【倒産法】
【基礎固め】初学者の最初の一冊
- 倒産処理法入門

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山本和彦先生の入門書(有斐閣)。倒産法という複雑な手続きの全体像を、まずはざっくりと掴みたい方に。
【辞書・詳細参照】圧倒的な信頼感
- 破産法・民事再生法

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伊藤眞先生の大著(有斐閣)。1000ページ超のボリュームで、実務・学説のあらゆる論点を網羅。困ったときの最終兵器です。
【国際公法】
【基礎固め】コンパクトに全体像を
- 国際法

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玉田大先生ほか(有斐閣)。約200ページで国際法の骨格を提示。言葉も平易で、最初の概観に最適です。
【論点整理】試験対策の標準レベル
- 現代国際法講義

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杉原高嶺先生ほか(有斐閣)。重要論点を網羅した中級者向けテキスト。司法試験に必要な知識密度を備えています。
【国際私法】
【基礎固め】図解で直感的に理解
- 国際私法

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多田望先生ほか(有斐閣)。イラストや図解が豊富で、「国際私法とは何か」をイメージで掴める入門書です。
【辞書・論点整理】改正対応のスタンダード
- 国際私法(LEGAL QUEST)

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リーガルクエストシリーズ(有斐閣)。法改正への対応も早く、バランスの取れた記述で辞書としても通読用としても優秀です。
【知的財産法】
【基礎固め】選択科目の決定版
- [知的財産法1 特許法 & 知的財産法II 著作権法
駒田泰土先生ほか(有斐閣)。わかりやすさに定評があり、これから知財を始める人の最初の一冊として強く推奨されます。
【辞書・詳細参照】長く愛される名著
- 著作権法入門
- 特許法入門
島並良先生ほか(有斐閣)。「入門」とありますが、その内容は深く、受験生のバイブルとして長年支持されています。
【租税法】
【論点整理】司法試験との親和性抜群
- スタンダード所得税法
- スタンダード法人税法
弘文堂のスタンダードシリーズ。多くの上位ロー生が使用しており、試験で問われる思考の枠組みを身につけるのに最適です。
【辞書・詳細参照】理論的背景を深める
- 租税法入門

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増井良啓先生(有斐閣)。経済学的視点も交えた解説で、租税法の「なぜ」を深く理解したい中級者・上級者向けです。
【労働法】
【基礎固め】数日で読める全体像
- プレップ労働法

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森戸英幸先生(弘文堂)。新書感覚で読める分量ながら、労働法の要点はしっかり押さえられています。
【辞書・詳細参照】労働法の百科事典
- 労働法

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菅野和夫先生(弘文堂)。実務家も必携の超・権威的な体系書。通読は困難ですが、辞書としての信頼性は随一です。
【経済法】
【基礎固め】行為類型をイメージする
- 経済法

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岸井大太郎先生ほか(有斐閣)。独禁法の禁止行為が具体的にどういうものか、ざっくり理解するのに適した入門書です。
- 独禁法講義

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白石忠志先生著(有斐閣)。 論理の明快さは随一で、頭の中が整理される感覚を味わえます。 独自説(白石説)が含まれるため、通説ベースの答案作成には注意が必要ですが、副読本として読むことで独禁法の体系的理解が飛躍的に深まります。「市場支配的状態」などの用語法の違いさえ意識すれば、最強の思考ツールとなります。
【環境法】
【論点整理・辞書】これ一冊で戦える
- 環境法

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北村喜宣先生(弘文堂)。700頁の大著ですが、語り口は丁寧。最新法令もカバーしており、通読から辞書まで幅広く対応します。





















